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March 08, 2007

ムジュンを見抜く

毎度この話題を書いてますが、
もうすっかり逆転裁判にご執心であります。

やってて、こういうシナリオをつくるのも
大変だろうなぁ、と思いますね。

開発側としては、プログラムのテストするときに、
ゲームシステムのデバッグと同時に、
シナリオ自体にも矛盾がないか?
というのもデバッグせにゃならんのでしょう。

ところで、人が何か犯行におよぶときには、
必ずその動機があります。

状況の矛盾を見抜くことも大事だけど、
人の心理に矛盾がないか見抜くというのも、
ゲームだけじゃなく、
何か議論するときには大事になってきます。

システム開発の場面であれば、
お客さんが本当は何を要求しているか?
というその心理を見抜けると、
かなり手戻りが少なくてすむんだろうなぁ、
なんて思ったりするものです。

(まぁ、実際現場の人が打合せに出ることは稀なんですが。。)

人が何か行動を起こす理由、
つまり動機について、次の2つの原則があります。

 I. 欲求は行動の原因である。

 II. 複数の欲求がある場合、最も欲求の強いものが優先される。

ただし、IIは、実際にその欲求が実現可能な場合に限ります。

ここで。

例えば、何か高度な情報処理の資格が欲しいなぁ、
と思っていると同時に、
あるゲームにハマっちゃって若干寝不足気味、
という状況のエンジニアがいたとします。

彼は、情報処理の勉強をするために、
1冊2000円もするような参考書の(上)(下)2冊、
あわせて4000円分も払って購入しました。

もちろん、家に帰ってその本を広げて、
情報処理の勉強をするためです。

しかし、家に帰ると、なぜかゲーム機を手に取り、
その電源を入れてゲームを始めてしまい、
夜も丑三つ時までやってしまうのでした。

はたと気付くと、
袋に入ったまま開かれることの無い分厚い参考書が2冊…。

なぜ、このようなことが起こるのだろうか?

その彼が高額な参考書を購入するという行動をとったのは、
情報処理の資格が欲しいという強い意志、
そしてその試験の勉強をしようという強い意志、
つまり、より強い動機があった証拠ではないか。

しかも、その本を2冊も購入している!

明らかにこれは、試験勉強をすべきという動機が、
ゲームをするなどということの動機より強いのではないか。

しかるに、実際にその彼がとった行動は、
ゲームを夜半までやってしまうという、
全く不合理で理解できない行動だった。

ということは、
最初に定義した2原則は矛盾しているじゃないか!?

最初に書いた2原則のどちらが間違っているのか。
或いは、両方間違っているのだろうか?

実は、2原則は I も II も、いずれも間違っていません。

この場合に考えるポイントは、
「ある欲求を成立させるためのメタ的な欲求というものがある」
ということ。

まず、原則 I について考える。

彼にはたしかに「ゲームをしたい」という欲求があった。
だから、ゲームをするという行動をとった。
ここに何ら矛盾はありません。

問題は、原則 II です。

この原則に従うなら、彼は、「資格が欲しい」という欲求よりも、
「ゲームをしたい」という欲求の方が強い、ということになります。

何ら矛盾していないような気がしますが。
現にそうだから、
彼は「ゲームをしたい」という欲求に従って行動したのです。

しかし、おかしいぞ。
だって、その割りに彼は、とても高い参考書を2冊も購入している。
これは、彼が資格がそれほどまでに欲しいという、
確かな、しかも物理的な証拠といえるじゃないか。

これは、明らかにムジュンしている!

実は、「参考書を買う」という行為は、
直接、「資格が欲しい」という欲求に結びつくものではありません。
そこには、「その資格を取るために勉強したい」という欲求が発生し、
さらに「その為に勉強する欲求をゲームをする欲求に勝たせたい」という、
いわば二次的、三次的な欲求が発生しているのです。

これを「メタ欲求」といいます。

つまり、「参考書を買う」という行為は、
「勉強したいという欲求をゲームをしたいという欲求に勝たせたい」
というメタ欲求による行動であって、
それ自体は、(そのお金さえあれば)大した労力もなく実現できます。
そして実際に実現しました。

そして、このようなメタ欲求が発生する主因となる欲求は、
大抵の場合、その実現が難しいか、
或いは、大きな力を必要とするものであったりします。

つまり、その主欲求を実現に向かわせる為に、
暗黙のうちに実現が容易なものから段階的な行動を想定し、
その最初の段階の行動を実現してしまうことで、
以降の行動についても開始されたという安心を得てしまいます。

この場合、そのまま最終的な欲求の実現が失敗する、
というケースに陥ることが大変多い。

結局彼は、原則 II の通り、「ゲームをしたい」という欲求の方が、
「資格が欲しい」という欲求よりも強かっただけであり、
「参考書を買う」という行為は、
「資格が欲しい」という欲求の強さを裏付けるものではない、
ということだったのです!(どーん)

 判決。

 原則 I 、原則 II のいずれも、ムジュンはしていない。
 (いずれも正しい!)


まぁ、壮大にイイワケしましたが、
やっぱり高度情報処理の資格は何か1つくらい、
あった方が良いんだろうなぁ、とは思ってるんです。

コレ、一応真面目に。

しかしね、実際無くても何とかなっちゃってるからなぁ…。
(という考えがダメなのも承知しています。ええ。)

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