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January 01, 2007

善悪の構図

昨年の終わりに、
かのサダム・フセイン元イラク大統領が処刑された。

思えば、湾岸戦争あたりから、
世界の悪役としてある意味スター的な人物だったのだけど、
判決からわずか4日(だっけ?)という速さで刑が執行された。
なんともあっけない幕切れという印象。

彼は最後まで自分の正義を主張していたようである。
つまり、自分はちっとも悪くないのだ、
悪いのは米国であり、それを支援している人々だといい続けて、
その信念を曲げなかったと。

もちろん、今回のケースで米国が完全に正義ではなく、
フセイン政権のやったことが完全に悪行だと判じることはできない。

裁判だけを見ればクルド人虐殺がその罪状だったようだけど、
それは口実であって、彼をああいう立場に追い込むことが、
最終的に米国は正しい(正義は勝つ)という図式を作って、
そういうプロパガンダを国際社会に主張していく材料になる、
ということだろうと。

それはともかく、あのサダム・フセインという人物は、
自分の正義を振りかざして猪突する人の典型なんじゃないかと思う。
自分は正義だと思っているけど、傍から見たら全く逆というパターンを
一番分かりやすい形で具現化したら、
つまりああいうことになるんじゃないだろうかと。

例えば、もしも一国の指導者がそうだったら、という、
ひとつの“もしも”パターンの実現というか。

何となく、私たちの価値観だと、
それは悪いことだと知りながら実行している、
彼らの主張は悪事の正当化に過ぎない、と考えそうだけど、
フセイン氏の場合は、どうもそういうのではない感覚。

むしろ、それが悪いことであると知りつつ、
(少なくとも、全幅に正義であるとは思っていない)
それを実行しているのは、米国サイドだろう。

米国は常に国際世論を味方につけようとする態度があって、
自分たちがやることは悪いこと(も含まれる)かもしれないけど、
ああいうどうしようもない悪いヤツがいるんだから、
そこに多少の毒を使うことはやむを得ないだろう?
という暗黙の要請があるような気がする。

ブッシュ米大統領が、
先の中間選挙で共和党が惨敗したことをうけて、
イラク戦争やその後のイラク政策について、
自らの采配に非があったことを認めていたけど、
これは、選挙で負けなくても、
その心には「マズったなぁ」という気持ちがあったということ。
でも、自身が優勢なうちは、
とにかくあれは正しい措置だったと主張し続けていたわけだ。

米国が何かやるときに、
彼らは事実上世界一の力を持っている国だから、
国際社会がそれを許すか許さないかというより、
力で“許させている”状態ではないか、と。

そうなってくると、
本当に悪いヤツは誰なんだということになる。

自分の正義(社会的には悪事)を信じて猛進する人。
悪いことであると知りつつそれを実行する人。
或いは、それをただ傍観する人。

(どこかで聞く構図である気もしなくもない。)

そもそも、
良い悪いという判定はそれを見る人の主観でやるしかなく、
その場合、より多い方の意見が「良い」と判定される、
いわゆる多数決の原理でコトが動くのが実状だろう。

本当のところは、それは良くも悪くもない、
ただ、そうすることでどれだけ納得できるか、
ある妥協をみつつ、一番無難な選択をしていっている、
というのが社会というものなのかなと。

結果として、社会に不利益となるものは悪であり、
社会の利益になることは善となる。
それが個々人のそれと必ずしも一致しないところで、
いろいろな揉め事が起こるのだろうと思う。

あと、人間という生き物は、
どうも勝ち負けにこだわり過ぎるところがある、
と思うのは、私だけか。

それが(上でいう)良い意味で競争心の源となるなら、
それはそれで問題ないのだけど、
往々にしてそれは争いの火付け役になることがある。
(ただでさえ火種はそこかしこに転がっているのに。)


とにかく、
一時代の悪役を演じたサダム・フセインという人物は、
この世を去った。

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